2022/5/8

午前十時半ごろに目を覚ます。家事をひととおりすませて、午後の予定のために身支度をととのえる。滝澤諒さんとのオンライントーク会だ。先日のイベントで一段とふかく心をとらわれてしまってからというもの、伝えたいことは山ほどあるけれど、話せるのはたった一分だから、それらはほとんど心に留めたままにすることにした。いずれ手紙でもしたためれば良い。けっきょく、かねてから考えていたとおり、イベントが楽しかったことをかんたんに伝えて、彼に踊ってほしい曲のリクエストをした。ZicoのARTISTという曲である。諒くんが踊ってくれたらぜったい格好いいと思ってるので、と言ったら「マジで!聴いてみよ~!」と返してくれた。別にほんとうに踊ってくれなくたってかまわないけれど、彼に合う曲だとは思っているので聴いてくれたらいい。こういった、いわゆる接触イベントというのは、たいてい終わったあとに自己嫌悪におちいるので、あまり純粋に楽しかったと思って終わることができないのだが、この日は楽しい気持ちが勝っていて嬉しかった。滝澤さんは夜、SNSに「楽しもうとする皆の気持ちが楽しい時間にしてくれるんだと思う」というようなことを書いていて、やっぱりこの人のことが好きだと思った。

そのあとは日用品の買い物をすませ、ひいきのカフェまで本を読みに出た。携帯電話を家において、本と財布だけを持っていったら、思った以上に捗った。貸出期限の延長を重ねてひと月半近く手元に置いていたゲーテの『ファウスト』をようやく読み終えたのと、ヴィクトル・ユゴーの『ノートルダム・ド・パリ』の下巻も読み切った。

夜は一年ぶりに会う友人と食事をした。一時は疎遠になっていた間柄で、昨年ひさしぶりに再会したものの、それ以降も日常的に連絡をとっていたわけでもなかった。また離れてしまうのはさみしいと思いつつ糸口が見つからずにいたが、先日ふいに、東京に来る予定があるから会おう、と連絡をくれたので会うことになった。二時間弱、愛するものの話から仕事の話まで話しとおした。ひどく傷つけたはずだが、かわらずに会話を楽しんでくれることがうれしい。今度こそちゃんと大事にしたい。私は自分で思っているよりも大事にしたい人が多いらしい。こういうことを考える時、くすぐったいような気持ちがする。