記録:2022-Dec

やっつけ12月記録。年が終わる。

マキノノゾミ『東京原子核クラブ』

久保田さんが出演していた舞台のDVDが届いたので、その予習のために読んだ。やっぱり好きな戯曲。

町田明広『攘夷の幕末史』

尊王攘夷VS公武合体という従来唱えられてきた対比は適切ではなく、この時代の対立を、ひろく尊王攘夷思想が膾炙していることを前提に、そのうえで攘夷をどう実行するかという思想の違いによるものとして読み解いたもの。まあそうだよね、という感じ。先月読んだ石井寛治『明治維新史』よりも幕府側に寄った記述が多く、こちらのほうが薄桜鬼の理解には良かった印象。

菊池理夫『日本を甦らせる政治思想~現代コミュニタリアニズム入門』

最小コミュニティとしての家族を尊重すべきだという主張には若干首をかしげたいところもあったが、おおむね私の感覚と一致する内容だった。まあ、別に夫と妻と子どもという家父長制ベースの家族である必要はないと考えれば納得もできるかも。人間はひとりで生きていけないことを前提にしているあたりに、リベラリズムを克服できるポイントがあるように思ういっぽうで、やはり人間の理性を過信しすぎでは?という脱力感も残る。その気持ち悪さを掘り下げる意味のあるものだと肯定してくれたのが、そのあとに読んだバタイユだ。

酒井健『バタイユ入門』

友人に教えてもらって読んだもの。涙腺がいくら緩いとはいえ、哲学の入門書を読んで泣いたのは初めてだ。人間の総体性という概念にこれほど現在の自分を許容されるとは思わなかった。私はずっと一貫性のない自分をゆるせずにいたことに気付かされたし、「私の」哲学だと思った。でも彼の西欧思想(人間の理性)への批判を考えると「哲学」という言葉は適切ではないのかも。思想、思索、想念。いずれにせよ、確実にこのところ私がいだき続けてきた左派思想全般に対する違和感への答え、というか共感を示してくれるものだし、こういう在り方があっていいのだということを肯定してもらえたのがほんとうに救いだった。これを薦めてくれた友人が、私がアンドレ・ジッドの文章を読んでうめいていたのと同じ時期に読んでいたのも感慨深い。

永倉新八『新撰組顛末記』

講談風の語り口もあいまって、ものすごくおもしろかった。薄桜鬼はこれがベースになっているのだとよくわかって楽しかった。

ヴィクトル・ユゴー『ノートルダム・ド・パリ』(抄訳版) 大友徳明訳

文庫で上下巻1000ページ超えの原作を、抄訳として240ページまで凝縮している。あらすじを掴むにはいいだろうけど、ほんとうにそれだけ。原作のフロロのねばついた感情なんかは漂白されてしまっていて、もったいないと思った。敷居を高くしている要因のひとつであることは間違いないけれど、あの長大さ、執拗な描写こそがユゴーの魅力だと再確認した。原作、再読したい。

栗原康『はたらかないで、たらふく食べたい ー「生の負債」からの解放宣言ー』(未了)

アナキズムのことを勉強したくて手に取ったもの。今の自分には読む準備ができていない内容だった。はっきり言ってしまうなら、筆者のスタンスに苛立ちを禁じえなかったし、自分の中にそういう反応が起きることはある程度予想がついていたうえで、それでもショックだった。私は骨の髄までしっかりネオリベラリズムの自己責任論に毒されている、そのことにもっと深くちゃんと向き合わないとこの本は読めない。

漫画

憂国のモリアーティ 1〜6巻

アルバート兄様がずっと大好きで嬉しい。モリミュがどんどん楽しみになってくる。

アニメ

チェンソーマン

やっぱりこれは、私の作品ではないんだなあと思いながら観ている。見応えはずっしりとあるので、重さのある絵が楽しみでずっと観ている感じ。

万聖街

2022年ぶっちぎりで一番好きだったアニメ。見ていると口角が上がりっぱなしになるので、一話見終えると頬が痛くなる。

薄桜鬼碧血録

これより先に黎明録を観てしまったので、まだ完走できていない。土方ルートをベースにしているというので、先にゲームをやってから観るか、こちらを先に観てしまうかで悩んでいる。

薄桜鬼黎明録

恋愛要素が避けて通れない乙女ゲームというコンテンツにあって、その恋愛要素をこそ疎ましく思う私のような輩にとって黎明録は居心地がいい。ホモソーシャルに対するおさえきれない憧れがあるからこそ、その男同士の結びつきに「女として」「外から」かかわることを前提とした設定はもどかしくて、一緒に薄桜鬼をプレイしている友人と「私たちは乙女ゲームの客ではない」とよく話す。

芹沢鴨は最低最悪だけど、最低最悪で終わらない、魅力ある男としても描かれるからこそ、この物語はおもしろいのだと思う。悪人も善人もこの世には存在せず、善悪の同居する人間とどう折り合いをつけて向き合っていくかが生きていくことのすべてで、たとえばそれは差別者を悪と断罪して終わることとは正反対なのではないか、というようなことをこのところずっと考えているので、あらためてそこに立ち返るきっかけになった作品だった。でも、これは踏みつけられていない立場の物言いであることもたしかで……どう生きればいいのかについて考えることをやめたくないし、だからこの作品の新選組が好きなのだと思う。私の誠を探したいから、貫けば誠になる、という土方の言葉を支えにしていたい。

機動戦士ガンダム 水星の魔女

最後の方、かなりやっつけで観てしまった感じがあってちょっと罪悪感がある。気持ちに余裕があってちゃんと味わえる状態のときに観たい……こんなのばっかりだな。

BLEACH 千年血戦編 第1クール

三年ほど前に原作を最終巻まで一気読みしているはずなのだが、千年血戦編の記憶がほとんどなく(中学生のときに読んでいる尸魂界編のほうがよほど鮮明におぼえている)、新鮮な気持ちで楽しめた。OP映像がものすごく好き!最初の数話は惰性で観ていたのだが、山本総隊長の戦闘シーンあたりから目が離せなくなってしまった。第2クールまでやや期間が空くけれど、夏まで楽しみにしていたい。

アイドリッシュセブン Third Beat!!!

これも大事な作品だからこそ最後まで観られていない……。私は誇り高いTRIGGERのことが好き。

映画・ドラマ

アダムスファミリー
ウェンズデイ

ウェンズデイ、かわいい。全部観ていないのでひとつずつ勧めたい。

ビッグ・リボウスキ

これを観た何日かあとに連れと適当に入った飲み屋にホワイトロシアンがあり、頼んだら危険な味がしてとても美味しかった。

Free the Final Stroke 前編

ずいぶんご無沙汰だったけれど、定期的に彼らの光を浴びたいという気持ちを新たにした。いつだって自由でいることを希求していたい、という気持ちを思い出させてくれる作品である。悩んで、考えて、真摯にまっすぐ歩いていたい。彼らの生き様を見ていると、私も姿勢を正そうと思う。松岡凛という人にどれほど奮い立たせてもらったことか。

グレムリン

クリスマス・イヴに連れと一緒に観たもの。グレムリン、かわいい。CGなしと聞いて驚嘆した。父親の発明がことごとく失敗品であることが、最後の骨董品屋の店主の "You're not ready" のひとことで説明されていて、なるほどなあと唸ってしまった。

コンサート・ライブ・舞台

SEVENTEEN ”BE THE SUN” @名古屋バンテリンドーム(ライビュ)
ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.1(配信)

ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.1 感想 - 地上のまなざし

↑に書きそびれた話。ウィルが次男であることは、階級制の打破をテーマとした作品において大事だと思いながら観ていた。アルバートとルイスのウィルへの忠誠と信仰はちょっとぞっとするものがあるけど、アルバートの持つ権力がウィルの駒のひとつにすぎないというのはあの兄弟のなかで権力の無力化の実践のひとつの形といえる。ウィルたちのとってる手段はものすごくラディカルだし、こないだ友だちと話したみたいに目指す世界を実現するためには結果だけでなく過程を重視すべきというところとは相容れないけど、少なくとも不均衡な構造を恩恵を受ける側が内から瓦解させていくというところに学ぶべきところが多いな……みたいなことを考えながら観ていた。

NIGHTMARE I’m with you Tour Final @ 東京ドームシティホール(12/10)

たっのしかった!!!!!

Sexy Zone ドームツアー2022 ザ・ハイライト(12/16)

誰かの夢が叶う瞬間というのを目の当たりにできたことについて、ずっと考えている。あんなにも美しい瞬間を目撃できて幸せだった。アイドルをやっている佐藤勝利さんにやっと会えたのも嬉しかった。この日以来、私の夢ってなんだろう、と折にふれて考えている。

NIGHTMARE With リリースイベント @ 新宿タワレコ9F

ツアーファイナルがあまりに楽しかったので、それを伝えたくて急遽参加を決めたリリイベ。電車の遅延というアクシデントに見舞われつつ、きちんと話せてよかった。咲人さんに楽曲解説を楽しんでいることを伝えられたのが嬉しかった。

劇団四季『ノートルダムの鐘』(12/18、12/29)

12/18:劇団四季『ノートルダムの鐘』鑑賞後記② - 地上のまなざし

12/29は連れとの鳥取旅行の帰りに付き合わせた。ふだん観ない視点からの感想をもらえておもしろかった。2022年最後の現場が大好きなこの作品で嬉しい。

東京原子核クラブ(DVD)

友人が泊まりに来てくれて、夜更かしでの鑑賞会で観たひとつ。久保田さんの演じる狩野良介は、きっとはまり役だろうと思っていたのだが、期待を超えていた。クッションを抱きしめながら好きだよ~と泣き言を言っているのを友人に見守ってもらう時間だった。

HAKU-MYU LIVE 3 東京千秋楽公演(配信)

これも友人との鑑賞会で。11/13に連れて行ってもらった回の配信。当時は薄桜鬼のことも、薄ミュのことも、久保田さんのことも何一つ知らない状態だったのだが、いろいろわかるようになった今観ると楽しいポイントがたくさんあって、わあわあ言いながら観た。久保田さんのことは最初の登場の発声で惹かれたのだが、こうして見返しても好きだと感じるところが変わっていなくて、自分の感覚は正しかったのだと思って嬉しくなった。


ゲーム

薄桜鬼 真改 伊庭八郎編、相馬主計編

伊庭ルートは違和感に眉がぴくぴくするシーンがちょくちょくあった。丁寧でやさしい男だが、千鶴を「無力な存在としての女」として扱う姿勢が、私は苦手。相馬編のほうは、ミュで予習できていたので進研ゼミ状態だった。

 

12月まとめ、書ききった……ッ!おつかれさまでした!!まだまだ書く!