2023/10/14

午前7時すぎ、おもいっきり寝坊。布団から出たくないとぐずるのを連れになだめられながらも10秒で服を着て、超特急で身支度をして家を飛び出した。友人4人はもうそろっていて、私が息を切らせて合流したら「おかえりなさい!」と迎えられて嬉しかった。レインボーアリーナって、帰る場所なんだな。だけどそうして観たムビナナは、ちょっと後ろめたくてつらかった。今の自分がまっすぐ生きられていないって自覚をしているときのアイドルのまぶしさって、痛い。

終わってからみんなでカフェに行って他愛のない話をして、カラオケに行ってプログレスプライドフラッグを振りながらアイナナの曲を大合唱して、すっごくすっごく楽しかったけど、私にはたしてこの旗を振る資格はあるのだろうかとちょっぴり考えてしまった。この先の未来を、男である連れと一緒に過ごすと決めたときから、バイセクシャルであることが過去になった今の私に。あたりまえだけど、別に旗を振るのが当事者である必要はない、むしろ当事者以外も旗を振る人の多い世界であるほうがいいって頭では思う。だけど、私が旗を振ることが、まるで当事者みたいな顔をすることになるような気がして、奪っているような気がする。そういう後ろめたさの根っこにあるのは、ほんとうは、特別だと思われるためにマイノリティの属性を帯びていたいだけなんじゃないのかっていう自分への不信感だ。ぜったいにぜったいに他者に向けてはいけない刃が、自分を内側から刺してくる。自分は「ほんとうの」マイノリティじゃない、と思ってしまうことは、「本物」と「偽物」を線引きしようとする動きが自分の中にあるっていうことで、それをいつ自分が間違って他者に適用しようとしてしまうかを考えると怖い。でも、だって、ヘテロとして埋没していくことが怖いのだ。そういう気持ちがあることを否定できないのだ。人と違っていたいという気持ちがあって、その違いの根拠を属性に求めようとする愚かさを頭ではわかっていながらも、拭えないのだ。ほんとうはこういう話も友人たちとしたいけど、傷つけてしまうことが怖くてたまらない。

友人たちと別れて、別の友人と落ち合って、すこし遅めの昼食でカレーを食べた。ほんとうはもうすこし涼しい日が良かったけど、美味しかった。思いのほか辛くて、ひいひい言いながら食べたけど。新宿紀伊国屋で西田大輔の舞台『ETERNAL GHOST FISH』を観た。満州国の最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の物語。率直に言って、難しくて何一つ確かにわかったと思えることがなかったけど、それなのにすごく好きだった。鈴木勝吾さんは気高い人が似合う。素敵な俳優だ、と今回も思った。