2019-01-01から1年間の記事一覧

生きてるっぽい

昼下がり、久しぶりに元恋人から「いーきてるー?」と連絡が来た。元恋人からの連絡はいつもそんな感じだ。私の生存確認さえできれば良くて、それ以外の目的を持たない。「生きてるんだか死んでるんだかわかんないよ」と返すと、「初期の鬱みたいなことをい…

10月14日(月)炭酸飲料

気を抜くとすぐに書けなくなる。先日は怠惰の擬人化をやっていたが、今は気の抜けた炭酸飲料の擬人化をやっています。頭のなかが晴れない。わかっている。情報過多だ。東日本大震災のときと同じ、遠い場所のニュースをきいては気が滅入っている。今日はテレ…

10月4日(金)さつま芋

カーテンを開けるなり洪水のように流れ込んでくる朝の陽光も嫌いじゃないけれど、部屋の明度をぬるりと上げるだけの、雲に隔たれた光のほうが好きだ。ひさしぶりのしっかりした雨に、思わずにっこりしてしまった。良い天気だ。 シンクに置きっぱなしにしてい…

9月29日(日)爪先

10時すこし前に起きる。敷布団を干して、タオル類を洗って、掃除機をかけた。昼過ぎに、友人に教えてもらったネイルサロンへ。 爪をひとに塗ってもらうのは随分ひさしぶりのことだ。今年に入ってからは初めてのことかもしれない。ただしい女に自らを寄せる行…

9月28日(土)脱出計画

泥のように眠った。13時近くになって起き出す。洗濯機を回したりぼーっとしたり文章を書いたり懲りずに昼寝をしたりしているうちに17時になっていた。支度をして家を出た。 学生時代からの付き合いがあるうちでも定期的に会う数少ない友人である。わがままを…

9月25日(水)確定したくない

何やってるんだろう、と思いながらラッシュとは無縁のくだり方面行き電車。自分に、他者に、まるごと世界に幻滅したような気分だった。調子のいい軽い言葉に乗っかったのはほかでもない私で、そんなものにさえ光を見出そうとしてしまったことが悲しかった。…

9月24日(火)よね

思い出したくない日があったっていい

9月22日(日)誕生日

11時起床。両親が最近見つけたという洒落たカフェへ行った。ランチプレートは葉物のサラダとクロワッサン、かぼちゃのポタージュ。私はかぼちゃのポタージュが好きだ。食べ物のなかでも指折りに好きだ。とろりとした舌触りと包み込まれるみたいな優しい甘さ…

9月21日(土)無題

目が覚めたのは12時前。起き上がる気分にならず、横になったまま14時過ぎまで携帯を漫然と眺めながら溶けていた。水平にかかる重力にすっかり慣れきってしまったせいで、起き上がると体が自分のものではないように感じられて心細くなった。 まず水回りをきれ…

9月20日(金)巣立ち

10時半過ぎに出勤。スケジュールは空いていたが、単発で舞い込んできた会議をいくつかこなした。しばらく余裕のある日が続いていたが、来月から新しいプロジェクトがはじまることになっていて、その準備ですこしずつ慌ただしさを取り戻しつつある。余白の多…

9月19日(木)青の似合うひと

9時に目が覚める。午前中の出社は諦めて、昨日作ったポトフの残りを食べながらちょっと仕事をする。11時に家を出た。気温も湿度も日差しも空の色も風も、何もかもが完璧で、こんな日に仕事をしなきゃいけないだなんて、どうかしていると思った。 恋人が昼食…

9月18日(水)劇薬

あいかわらず寝起きの悪い私がぐずぐずとタオルケットに絡まっている間に、今朝も恋人はコーヒーを淹れてくれた。熱いコーヒーの沁みる季節になってきた。最高だ。そのうち魔法瓶にコーヒーをいれて散歩しに行こうね、と話している。 午前中に会議がひとつ。…

9月17日(火)消えない火

生きているから書く。なにかを感じているから、琴線に触れるものがあるから、それで動くなにかが私の中にあるから、それを確かめたくて書く。書くことは私の証明で、書けないときは自分の存在が薄まる気がして怖かった。今月は書く、と決めてから一週間が経…

9月16日(月)加速的高揚

10時過ぎに起きる。朝顔に水をやるべくカーテンを開けると、色彩に欠けた灰色の空、朝顔のえび茶色と濃い紫がよく映えていて良かった。良い天気だな、と思ってから、なぜ晴れた日だけが良い天気として扱われるのかふしぎに思った。良いとか悪いとか相対的な…

9月15日(日)酢漿草

目を覚ましたのは11時ごろだったが、13時近くなるまで布団のうえにいた。勉強しなくちゃなあ、と頭では思うが体がシーツに縫い留められたかのように動かない。だって気持ちいいんだもん。13時過ぎにどうにか体を引き剥がして、2ヶ月半ぶりの歯医者。まわりの…

9月14日(土)現在正義主義

10時半、目覚ましにて起きる。洗濯機をまわして、朝顔に水をやって、午前中に対応することにしていた仕事を片付けるためにパソコンをひらいた。すぐ終わると思っていたのだけど、甘く見ていたようで、けっきょく自分の中で納得するところまで辿り着いたとき…

9月13日(金)秋は私の

ひとりで暮らしていると、夜に窓を開け放って眠るのにはすこし怖い。かといって閉め切って眠るにはまだすこし暑くて、それで空調を除湿モードにして寝た。5時すぎに肌寒さを感じて起きて空調を切ったのも、7時半に携帯のアラームが鳴って止めたのも覚えてい…

9月12日(木)かみあわない

8時半に目が覚めた時点で、今日は調子があがらない日だなと悟った。会議の予定もなかったし、移動時間のことを考えたら終日家で仕事をしても良かったのだが、そのことに気が付いたのは着替えたあとだった。一度着たものをまた脱いで部屋着に戻るのは癪な気が…

9月11日(水)還

今は仕事が忙しくないからとのたまう恋人のせいで、私までつられて8時まで微睡んでしまった。私のほうはそんなに悠長にしている場合でもなかったのに。そのくせやっぱり先に起き出したのは恋人のほうで、私が寝ぼけまなこでシャワーを浴びて出てくる頃には、…

9月10日(火)秋、はじめました

7時半起床。カーテンを開けると、待ってましたと言わんばかりに部屋に陽射しが流れ込んでくる。朝顔に水をやって、エダシャクの餌用に、大ぶりの葉を一枚拝借した。一時期ぱったりと花をつけなくなっていたが、最近はまた蕾がむくむくと増えている。エダシャ…

9月9日(月)菊と夕焼け

8時半に起きる。いつもならとっくに起きてなくちゃならない時間だけど、はなから会社に行くつもりはなかったから問題はない。朝食をとる習慣はないが、時間にも気持ちにも余裕があったので、ハムとチーズをのせたトーストを作った。それと紅茶。夏まっさかり…

9月8日(日)怠惰

7時半、恋人のアラームで眠りを妨げられる。あたりまえのことみたいに触れ合って、私がまだ睡魔に絡め取られているあいだに恋人はさっさと布団を抜け出して朝食を作り始めていた。色温度の低い朝の光、東向きの部屋がこんなにいいものだとは思わなかった。フ…

生きているんだ、愛せるか

日頃、あらゆる鎖を自分にかけている。それは自分がどう生きたいかという信念に基づいた、対外的なものである場合もあるけれど(たとえば差別を容認しないだとか、他者を断罪しないだとか)、もっと個人的なものであることが多い。漢字表記にする文字と、ひ…

液晶、生活の交点

生きるって、なんだったか。こんな生き方をしたかったわけではない、とその感覚ばかりを毎日やり過ごしているけれど、どんなに風に生きたかったのかはもう忘れた。 25歳。結婚とか、出産とか、はたまた社長になっていたりとか。とっくに言葉をかわさなくなっ…

塗りかえて世界

金曜の夜、飲み会を終え、片付く気配のない仕事をどう週末のあいだに殺そうか考えているうちに、最寄り駅についていた。先月末に閉業した惣菜屋の建物はいつの間にかすっかり取り壊されていて、建物と建物のあいだにぽかりと居心地の悪い、唐突な空白が生ま…

傍観(4月28日、ソウルにて)

安宿の、けっして快適とはいえない寝心地のベッドで目が覚めたのは11時になる頃だった。そこからまたしばらく微睡んで、正午をまわってどうにか宿を出た。睡眠をきちんととると、こんなにも体は軽いのか、と驚く。予定は何も決めていなかったので、宿から大…

夜が明けて春

日付が変わった。多くのひとにとっては新しい一年のはじまりのようだ。私にとっては次の一週間、次の一ヶ月のはじまりに過ぎないけれど、周囲のどこか心もとない空気に感化されて、少しばかりうしろを振り返ってみることにする。ちょうど2年前、大学院を退学…

IMFACT Live Tour Tokyo 参戦記

行き場のない感情が暴れまわって、先週の水曜日は帰宅してからずっとため息ばかりついていた。吐息にのせてどうにか体の外に逃がそうとするんだけど、それまでのことを思い出しちゃってうまくいかなくて、そうだこういう時のために言葉があるんじゃんと思っ…

津波の映像が流れます

あの日から8年、とかいって、先週は特集を見ては毎朝泣いていたのに、今日になってみたらあっさりと2時46分は過ぎていった。その瞬間だけ、パソコンのキーボードを打つ手を止めて、目を閉じて祈ってみた。あたりは、その前までと寸分たがわず仕事の話でざわ…

労働の燃料

2年ぶりくらいに、学生時代の後輩に会った。けっして関わりが深かったわけでもなくて、でも誰よりも色んな話を聞いてもらった相手だ。口数が多いわけじゃないけれどぽつりぽつりと話す彼に引っ張り出されるように、やっぱりこの日も気がついたらいろいろな話…