9月22日(日)誕生日

11時起床。
両親が最近見つけたという洒落たカフェへ行った。ランチプレートは葉物のサラダとクロワッサン、かぼちゃのポタージュ。私はかぼちゃのポタージュが好きだ。食べ物のなかでも指折りに好きだ。とろりとした舌触りと包み込まれるみたいな優しい甘さに絡めとられて、脳の端にひっかかっていた思考がぜんぶ胃に落ちてゆく気がする。スパイスの効いた無花果のパフェも美味だった。パフェは月替りらしく、来月にはまた新しいメニューになるという。恋人と来たいなあと思った。

18時に帰宅。ケーキ屋に慌てて駆け込む。閉店間近とあってショーケースにはレアチーズケーキがひとつ残っているきりだった。すこし迷って、ふたりでも食べられるからと大きめのパウンドケーキを選んだけれど、下段にぽつりと残った寂しげな姿が忘れられなくて、そっちにすれば良かったなと帰宅してから後悔した。次はそうする。

のんびりと家事をこなしながら恋人を待つ。20時を過ぎた頃に、酒を切らしていることを思い出して、慌てて買いに出た。土砂降りである。近所の輸入食品店でビールをヒューガルデンとシメイの赤を買った。それから程なくして恋人がやってきた。ケーキあるよ、と私が言うと、恋人はぱっと顔を輝かせて、めっちゃ嬉しい、と力任せに私を抱きしめた。私はしばしば照れくささから愛想のない言い方をしてしまうので、このひとの素直なところは見習いたいと思っている。

ケーキを切りながら、グラスを出してくれと頼んだ。ビールのグラスがある棚にプレゼントを仕込んでおいたのだ。ところが恋人、最前列の小箱には目もくれず、手際よくビールグラスをふたつ取り出して、出しといたよと機嫌よく言うものだから、つい笑ってしまった。君も目の前にあるものに気付かないタイプだっけ?と私がからかうと、しばらくきょとんとしていた。仕方なくいくつかヒントを出すと、外れるんじゃないかと思うくらいの勢いで食器棚の扉を開けていた。箱の大きさから見当はついたようで、スーツのときにつけるものでしょ?とはしゃぐも、ラッピングを解くのが惜しいのか、しばらく箱を目の前に置いたまま神妙な面持ちでじっと見つめていたのが可愛らしかった。逡巡を経ての開封第一声、めっちゃかっこいい…!と目を輝かせていて、心配こそしていなかったものの、やはり喜んでもらえたことに安堵した。

ひとりよがりな日々を送っているので、こんなふうにひとの誕生日を祝えたのは嬉しかった。とりわけ、好きな人の。