2024/1/30

昼 納豆汁と白和えの残り、豚キムチ、ご飯
夜 創作フレンチ

急遽20時半入った会議を同僚にまかせて、連れと予約していたレストランへ。そんな時間の急な会議に出るかばーか。食道楽の母に教えてもらったお店は、アラカルトがなく完全におまかせのコース。アミューズからデザートまで8品、ペアリングをつけてもらって、料理も酒もしっかり楽しんだ。先日の母の誕生日にしてもそうだが、自分では到底思いつかないような味付けや組み合わせを展開されるのは、大学の授業を受けるのに似た楽しさがあると思う。知らない世界がそこにあると知覚する体験の気持ちよさ。

シェフもソムリエも同年代くらいに見えた。2人とも楽しそうだった。つまらない仕事をつまらないと思いながら日々をやり過ごす自分がたいそう惨めに思えて、どこを間違えてこうなってしまったのだろうと、悔しさや情けなさを掻き立てられた夜でもあった。

やや飲み足りず、2軒目を探そうかとも思ったが、けっきょくまっすぐ帰宅して、『バベットの晩餐会』を観た。料理や酒の芸術性をたっぷり味わった今だから観てよかった作品だった。耽美主義的なところも、女性が芸術家になれることを見せてくれたことも好きだった。私も連れも、死ぬまでにたった一回でいいから、誰かに残る作品を作れたら、と思いながら生きている人間だから、バベットがそのたった一回の豊かさを惜しまずに見せてくれたことが嬉しかった。たった一回で、芸術は人の生き方を変えることができる。それは宗教の提示する正しさからかけ離れた形かもしれないけれど、人と人を結びつけることができる。それが豊かさでなくて何なのか。宗教の慎ましい高潔さに憧れながらも、耽美主義的な傾向の強い私には重なるものの多い作品だった。