4月8日(水)階段

9時起床。うまく睡眠をとれていないので体が重い。久しぶりに、携帯電話のアラームだけでは起きられなくて、大音量の目覚まし時計の世話になってしまった。

午前中の会議は派手に議論が紛糾して、どうその場を収めようかときりきりしながら、それでもなんとか時間内に終えた。もう下っ端じゃないから、そういう状況になったときに助けてくれるひとがいない。私がどうにかしないといけないのだ。後輩も、自分よりずっと歳上のひともいるチームを率いる立場になって3ヶ月が経った。会議のファシリテーションはほとんど問題なくできるようになったし、チームメンバーとも、クライアントとも、良好な関係は築けている。自転車操業とはいえ、どうにかまわっている。私、頑張ってるよなあと思う。案外やるじゃん、と思うこともある。

それでも、自分が空回りしてやしないかと不安になることはしょっちゅうだ。なるべくチームのひとたちにはフェアに向き合うように意識をしている。でも、それだってひとりよがりかもしれない。業務量は多いから、うまくタスクを割り振れなくて、後輩を潰すようなことをしているんじゃないかと思うと怖くてたまらない。1年前、仕事に喘いで、死ぬことまで考えるほど追い詰められていた自分と同じ思いを後輩に味わわせてはいないだろうか、そういう兆候をきちんと私は見極めることはできているだろうか。しんどいとき、わからないことがあるとき、この人になら正直に話しても大丈夫だと思ってもらえるような態度で接することはできているだろうか。一方で、毅然とした態度をとるべきところがあるのも事実で、そこの力加減は未だにわからない。歳上だろうが歳下だろうが、意見は臆せずに言えるたちだけれど、自分の指摘ひとつで相手の気分を害すかもしれない、傷つけてしまうかもしれない。そう思うとなかなか強く出られない。ここはたぶん、これからもずっと悩み続けるんだろうと思う。

何より、リーダーという立ち位置になってみて、決定権を持つことの重たさを切に感じる。幸いなことに、頼れる人はけっこう周りにいる。ベテランたちがサポートに回ってくれるから、経験不足はそこまで怖くない。頼る先を間違えなければまず大きな問題は起こさないし、私はわりとそういう人間の見極めがうまいから。でも、その人たちはあくまで補ってくれるだけで、私の代わりに物事を決めたり、うまいこと収めたりしてくれるわけではない。最後に、「どうする?」という視線が自分に向くとき、ものすごく孤独だと思う。誰かを率いるというのは、さみしいことなのだなと思う。

頑張るというのは、そのときに自分ができる最善の選択をし続けること。あの言葉がなかったらここまでやっていなかっただろうと思う。

昼食を食べて、両親と近くの公園まで散歩に行った。ずっと室内でパソコンの画面ばかり見ているので、外に出たら太陽が眩しくて文字通りくらくらした。両親も私も、地面ばかり見て花を見つけてはすぐしゃがみ込むので、運動不足解消のためという名目は成り立たない。それにしてもすっかり花が好きになっていて、自分はこのひとたちの娘なのだなと思った。草花の名称は、ひとよりはかなり知っている方だと思うのだが、両親には敵わない。午後にも会議が控えていたから、あまり時間をかけることはできなかったけれど、今季はじめての花に出会えたのでとても良かった。

紫華鬘がたくさん
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十二単
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八重葎の花は星のかたちをしているf:id:lhzyxmjnh:20200409024946j:plain

紫鷺苔
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阿蘭陀耳菜草
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耳形天南星
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胡瓜草
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破れ傘。天ぷらで食べたことがあったけれど、生えてるところは初めて。本当に破れ傘だ。
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稚児百合
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これでも生物学科卒だしカタカナ表記すべきなのかもしれないけれど花の漢字って楽しい。そのほか、春蘭、ベニバナマンサク、花蘇芳、母子草、父子草、石楠花、イチゲの仲間、野いちごの花、あとはカラスノエンドウオオイヌノフグリ、姫踊子草などいつもの顔ぶれ。

帰宅後、会議をもうひとつ終え、夕食まではかなり集中して仕事をした。時間を正しく使えた感覚があると気分がいい。

夕食はミニトマトの和風マリネ、大根と油揚げの炊いたん、アスパラガスのチーズグラタン、豚肉の味噌焼き、なめこの味噌汁。一人暮らしは最高に快適だけど、この食事があると戻る気持ちは薄れてしまう。新型肺炎の状況が落ち着くまでは厄介になりそうだ。

22時、アメリカ本社のメンバーとの会議。初めて自分がリードする英語での会議だったので、21時半くらいから動悸がおさまらなくて大変だった。恋人に泣きついていたら、緊張のドキドキは脳に血を送って活性化させて、パフォーマンスを上げる準備なんだといって励ましてくれた。1時間を予定していた会議は、相手の事情で30分ほどになって、明日続きを話すことになったのだけれど、もう明日はここまで怖がらなくてもすむだろうと思う。しどろもどろだったし、かなり同僚に助けられる場面はあったものの、ひとまず会話は成立していた。上出来だと言ってもいいかな。今日のところは。はじまる前に恋人がきっぱりと言った、「この1時間きみは頑張る」という予言は、外れていなかったと思う。