2022/7/20

何があったわけでもないのだが、気分は冴えない。仕事はあいかわらずおだやかである。期限にまだだいぶ余裕がある作業の段取りを考えるなどして、仕事をした気になっていた。終業時刻より早めに切り上げて、映画館に行った。裁量労働だと、こういうことが罪悪感なしにできるから良い。

三回目の鑑賞である。席は前回よりもすこし前方にした。物語は難解だが、映像が、音がふつふつと快感を呼び起こして愉快になってくる。音響が良すぎて笑いがこみ上げてくる、という感覚はそう頻繁に味わえるものではない。終わってみればだいぶ明るい心持ちになっていた。帰宅してから映画の感想について連れとしばらくやりとりをしていた。楽しかったけれど、やっぱり会って話したいと思った。

交際を終えてからの数年、元恋人としてゆるやかに付かず離れずの距離を保ってきた相手だが、交際を再開させてみると、こうも変わるものかと驚く。会話しないのが日常だったのに、たった数ヶ月で会話することが日常になっている。連れと話すのは楽しい。楽しいので、そうしていない時間が相対的に退屈に感じられてしまう。それはそれで困る、というか怖いような気がする。

お互い、自分を楽しませる術はよく知っているし、恋人を優先するみたいな考えはもとよりない方だ。私は私の好きなように生きる、連れは連れの好きなように生きる。一緒にいるときだけ、お互いが楽しいと思えるように過ごす。言葉にして確認し合ったことはないけれど、たぶんだいたい同じようなことを考えていると思う。だから、一緒にいない時間を私が自分で楽しめなくなってしまったら、均衡が崩れてしまいそうで嫌だなあ、と思っている。