新鮮な読み物

頭がずっと重いような気がするのは、気圧のせいだろうか。後遺症でないとよいのだが。

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タイミングがなくて読めていなかった雑誌『スピン』の創刊号を読んだ。「新鮮な小説」という言葉が浮かんだ。どこがそう感じさせるのかわからないが、とれたての文章なのである。ふだん文芸誌というものをほとんど読まないので、かなり新鮮な感覚だった。まだぜんぶ読み切れていない。斉藤壮馬さんの文章にたどりつくのが楽しみなような、怖いような気がする。

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ずいぶん前に書店で見かけて、好きそうな匂いを感じとって購入したもののそのままになっていた中谷宇吉郎の『雪と人生』という随筆集を読んでいる。美しい描写にさりげないユーモアが滲んでいて、これがとにかくおもしろい。ところどころでは声を立てて笑っている。

冷徹無比の結晶母体、鋭い輪廓、その中にひそめられた変化無限の花模様、それらが全くの透明で何らの濁りの色を含んでいないだけに、ちょっとその特殊の美しさは比喩を見出すことが困難である。
 その後毎日のように顕微鏡をのぞいているうちに、これほど美しいものが文字通り無数にあって、しかもほとんど誰の目にも止まらずに消えて行くのがもったいないような気がし出した。そして実験室の中でいつでもこのような結晶ができたら、雪の成因の研究などという問題を離れても、随分楽しいことであろうと考えてみた。

中谷宇吉郎『雪と人生』より『雪を作る話』

 このごろたいていの雪の結晶が皆実験室の中で人工でできるようになったので、自分ではひとりで面白がっている。よく人にそれはどういう目的の研究なんですかと聞かれるので、こうして雪の成因が判ると、冬期の上層の気象状態が分るようになって。航空気象上重要なことになるのですよと返事をする。そうするとたいていの人はなるほどと感心してくれる。しかし実のところは、いろいろな種類の雪の結晶を勝手に作ってみることが一番楽しみなのである。

中谷宇吉郎『雪と人生』より『雪雑記』

『夏の日本海』という、少年時代の魚とりの記憶についての一編に書かれているのと同じような、少年らしいときめきを、いくつになっても持ち続けていた人であるというのがよくわかる。そういうときめきを持ち続けていられることが羨ましい。資格の勉強も語学の勉強も、やりながらこれがいったい何になるんだろうと考えてしまっていまひとつ身が入らない私とは大違いである。

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When I got to see my parents the other day and we were talking about purchasing a home, mom asked me if I decided to stay this decaying country for the rest of my life. Now that question is keeping me bothered for days. Sure I know this country is hopless piece of shit and still getting worse, but that doesn't make me feel run away. I even have plenty of reasons to stay. I have my friends here, I've never studied abroad, my only overseas experience is almost 20 years ago except for travelling, I'm not confident with my English or not sure if I can find a job there, if I can afford it, etc etc. Well these seem to be excuses more than a reasons. I know that all of this is just because that I'm afraid,  and actually I am capable of it only if I want to.  I wonder how people can be so brave to quit their jobs and start over in a whole new environment that they have never belonged to. 

英語で書いているのは、一日中ネットフリックスでOrange is the New Blackを見ていたら英語の頭に切り替わってしまったからである。切り替わるといっても流暢に話せるわけでもないので不便なものだが、人目に触れることが上達の鍵だというのでたまには置いておく。