ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2 & 3 感想

年末に1作目を観ていたけど、そのあとの既作も配信が始まったので観た。本来生ものである舞台を配信という形にかまけて何度も観るのってすこし後ろめたさもあるんだけど、そうしないと拾えないものが多すぎるので。無力。来月観るOp.4を最大限楽しむためにもちゃんと観ておきたい、と思うくらいには、この目で観る前からこの舞台にすでに入れ込んでいる。

Op.2、3共通で、久保田さんのお芝居はやっぱり優雅で、好きがゆらぐ気配がなかった。Op.1の感想でも書いたけど凛としている。『東京原子核クラブ』の狩野しかり、権力の毛皮を着てふるまうことに慣れている人の役がほんとうに似合うし上手。大好きだなあとずっと嬉しい気持ちだった。とはいえ、好きフィルターがかかった状態で見てしまうの、かえってもったいない気もしてきた。ここはずっとジレンマなのだろう。常に好きじゃない状態で観て常に初めて好きになりたい。

歌詞は耳コピなので間違っていたらごめんなさい。いつもどおりネタバレは配慮しません。

ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2 –大英帝国の醜聞–

いやあ………すっごく好きでした!このあとにOp.3も観ているけど、これまでの3作では2が好き。これは配信映像で、私は劇場じゃなくて家のソファにいるのに、それでも役者に届いてほしいと思いながら拍手をせずにはいられない瞬間が幾度かあった。再三言うようだけど来月のOp.4がほんとうに楽しみだし、見る前から全然手元にチケットがないのが悲しくなってきた。ぜったい増やしたい。

1    憂国のモリアーティ Op.2

陰鬱な曲調から始まるの、この物語の闇深さによく合っていて好き。

2    ロンドン 闇の夜

活気のある感じが良い。アンサンブルが魅力的な作品だなあという印象はOp.1のときからあったのだが、Op.2、3と観てその気持ちはさらに深まった。Op.2の公式サイトに載っているインタビューをあとから読んだら、勝吾さんがやはり同じようなことを言っていて嬉しくなった。2.5舞台ってそんなに数を見ていないので比較できるものがすくないのだけど、たとえば薄ミュ真改の西田演出は大好物ながら、あれはやはり新撰組主眼の舞台なので、アンサンブルは台詞もほとんどないし、舞台上の人間の数を増やす目的での立ち回りが大きくて、ちょっともったいないな~とも思う(とはいえ、あの作品でアンサンブルが生き生きとしていたらそれはそれで違うと感じるだろうから、それぞれの最適解がある)。モリミュのアンサンブルってみんな超生きてる感じして好きなんだよな。

3    悩むな兄弟

フレッドがふたたびの人狩りをウィルに伝えるべきかモランに相談したときのモラン、ほんとうにかっこいい。「どうしたフレッド、俺の兄弟分」の歌声の伸び方が気持ち良くて、これを聞いて薄ミュのこの人の土方も見ようと思った。フレッドの静かな怒りもすごく表現が好き。フレッドがウィルに事情を話し終えて、ウィルがきちんと対処する意思があると答えたとき、それを聞いたモランが横で「やっぱりな」って笑みを浮かべていたのがかっこよかった。その直前にモランが何か口を挟もうとして、ウィルがそれを身振りで止められていたけど、あれは何を言おうとしていたのだろう。

4    全てを捧げて

モリミュ楽曲の難度はこれにかぎらないけど、難しい曲だなあとしみじみ聴いてしまう。半音がキく。ルイスとアルバートのハモりとか。音を外したら成り立たない曲。久保田さんが声を発するたびに好きだー!という気持ちが鮮烈に胸に走る。「血がつながらぬ私ときみたちは 魂でつながった同志となった」で手を広げるときに指先がそろっているところ、神経が細部まで通っていて大好きだし、「魂でつながった」ですこし微笑んでいますか?ひゃあ

5    悪魔を裁くは

勝吾さんのハイトーン、すげ~~~~~。の回。剣をつかっているとどうしても薄ミュの風間千景がだぶって見える。殺陣をしながら歌うフレッド、しっかり怒りが声にこもっているのに音がブレていなくてすごい。ルイスの「神の定めた大罪に」からはじまるモランとルイスの掛け合いパートは、この舞台で指折りに好きなシーン。「同じ人の腹から生まれ出て なぜ人はこうも見にくく成り果てる 拭うことのできぬその罪、命とともに散らしてやろう」のモランの絶叫よ!強さの概念を声にするとこうなるんだ、と思った。モランの殺陣、長身もあって回し蹴りが映えて、めろめろめろ。というかいくらでも殺すチャンスはあるのにいたぶるの、怖い。「セバスチャン・モランは死んだ おまえが見たのは死神だ」のあとに力を込めて頭に銃弾を打ち込む瞬間の顔がめちゃくちゃ怖くて大好き。

6    二人のM 取引

久保田さんのアルバート、まっすぐ立ってるだけで気品があふれている。久保田さん本人由来なのかな?とも思うけど、いっぽうで薄ミュの土方ではもっと粗雑な江戸っ子気質も感じるので、やはりちゃんと演技なんだろうなあ。Op.1でも思ったけど、アルバートってほんとうに目線の動きがすくない。そういうところが威厳の一端なんだろう。やっぱりこの人のお芝居が大好き。「アルバート・ジェームズ・モリアーティ、祖国のために」の発声、好きすぎて言葉になりません!テニミュ時代の久保田さんを見たことのある友人が「くぼひでは声がセクシーだよね」と言っていて、セクシーという形容がしっくりくるかはともかく、やはり薄ミュライブ3で初めて観たときに、何よりまず声に惹かれたのはたしかなので、声が好きだなあと感じるたびに嬉しくなる。

7    月夜の誓い
8    ワトソンの日記 本文 (I)

ワトソンの正義感の強さってあらゆるところで出ていていい。ハドソンさんとのデュエット、大好きなナンバー。奏音さんもこんなにうまかったんだ!と思った曲。Op.1だと歌の印象はほぼ勝吾さんだけだったんだけど、Op.2ではほかのキャストの歌を聴きどころもたくさんあって良い。

9    ワトソンの日記 本文 (II)

憔悴したシャーロックの演技がよすぎる。シャーロックがバイオリンを弾くシーン、平野さんの持つ小道具のバイオリンは弦が張られていないんだけど、運弓も運指も、ちゃんと実際に演奏している林さんと一致しているように見えて、細かいところまで作り込む平野さんのこだわりが見えるなあと感嘆した。

10    心狂わす犯罪卿

これもまあ難しい曲。
このあとレストレードが登場して空気がやわらぐの、良い役どころを確立していていいなあ。シャーロック、憔悴のあまりずっとものすごい早口なんだけど、よくこのセリフ回しをできるなあと感心する。
ジョン!と呼ばれて今行く!と返事するワトソンが「わかってるよ!」とじれたような顔をしてたのが良かった。ワトソンって穏やかでいいやつだけど、ちゃんとむかついたりするのがいいところ。

11    Catch Me If You Can

場面変わって、列車の食堂車でモリアーティ一行とシャーロックが邂逅するシーン。ウィルに会って少年のようにはしゃぐシャーロック、愛らしい。ルイスの座ってる椅子の背をばんばん叩いて席をあけさせる傲岸不遜なところも平野シャーロックの魅力だなあと思う。この楽曲もM5『悪魔を裁くは』と並んで指折りに好きなもの。ルイス、モラン、フレッドが内心でシャーロックへの苛立ちをつのらせていくところのハモりが気持ち良すぎる。劇場に行っていたら、これを聴くためにお金を払ったんだなって思えるような曲のひとつ。ウィルが "Catch me if you can, Mr. Homes." ってシャーロックを挑発してみせるとき、シャーロックはうっとりして、それからおかしくてたまらないという感覚が腹の底から湧いてきたみたいに笑い出す。前の場面での憔悴した顔とは対照的な晴れやかな表情で、ほんとうに楽しいんだろうと伝わってくる。

12    二人の探偵

レストレードが「女性にきゃー!♡とか言われたいものですなあ」って言ったそばからきゃー!(悲鳴)があがるのは、脚本としては定番だけど、いかにも舞台っぽくて好き。それを聞いてさっと顔色変えて走っていくのも、そのあとワトソンが鉄道警察に犯人と疑われてかばうところも、レストレードってちゃんとかっこいいんだよなあ。

謎解き中のシャーロックはほんとうに楽しそう。ピッキングで鍵を開けるシャーロックにウィルが小さく拍手を贈っていて、こういうところ茶目っ気のある人だね。ウィルとシャーロックの対照的な描かれ方というのは作中を貫くものだけど、とくに両者のコントラストが際立つ場面だと思う。

乗客役の女性アンサンブルの衣装が良くて、手を抜いていない舞台だなと思う。アンサンブルの衣装すごいんだよな。数もかなり多いし。犯人のエディを追い詰めるウィルの「ひとつひとつ教えて差し上げましょうか」のハイトーン、きれい。ウィルの「あの二人、すごく良いコンビだと思う」はどういう感情なんだろう…かすかに羨望の色が見える気がするんだけど。

シャーロックがワトソンと仲直りをするシーンも大好きなところのひとつ。シャーロックの酒の減りがワトソンよりも早いのも、グラスに指をつっこんで氷をぐるぐるとかき混ぜるぞんざいさも、まさにそうあってほしいシャーロック!仮面舞踏会のように動きの大きい場面でつかう飲み物の小物はさすがに難しいけど、こういうところで本物の液体をちゃんと使っているのも好きだなあ。シャーロックの謝罪になっていない謝罪を聞きながら仕方ないなあというふうに笑いが口元に出るワトソンの優しさも好き。

13    二人のM 指令

アンサンブルが良いって始終いってるんだけど、その魅力のひとつがここ。女王役のアンサンブルの人の威厳よ。街の人をやっているときとは全然まとう空気が違うし、ちゃんと年がいってるように見える。

王子のスキャンダルをおもしろがって笑うアルバートって良い性格してる。
マイクロフトとアルバートの殺伐とした雰囲気を見せるためにアンサンブルにうしろで殺陣をさせる演出、すごく好き!

フォンクラム伯爵に扮するボヘミア王に扮するアイリーン、覆面をつけているのに登場した瞬間舞台が宝塚になる。

14    この世界を

勝吾さん、すげ~~~の回。この曲から1幕最後につながる流れ、幾度観てもぞくぞくしてしまうし呼吸を忘れる。

15    闇への扉がいま開く

1幕最後。ほんっとうに好きで、この曲のためだけに音源CDの購入を今迷っている。イントロのバイオリンの重音の奏法からしてもう性癖のど真ん中。和音と音圧に興奮する体質にはたまんない。アンサンブルが足を踏み鳴らす振り付けになっているのも大好き。キャストそれぞれの旋律や詞、全員のユニゾンや掛け合いが入り乱れる構成も大好き。音楽でも群像劇っぽいのが好きなんだな。これ、劇場で聴きたかった………。確実に涙腺をやられていたことだろう。

 

2幕からちょっと疲れて歌詞を聴く余裕がなくなった結果、感想がおろそか気味。どうせまた再鑑賞すると思うので、追記できたらしたい。

16    大作戦

「ショー・マスト・ゴー、オンだ。」というシャーロックの台詞のオン、でふたりが扉に向き直る動きが好き。アイリーンの登場シーンとともに派手な衣装のアンサンブル3人が出てくる演出もにくい!アイリーンの厚かましさ、華やかさ、したたかさの擬人化みたいな存在として見ていました。大湖せしるさん、宝塚時代に男役と女役両方を経験したときいて納得した。お顔立ちが派手でアイリーン・アドラーがあまりに似合う。ワトソンのコミカルなまぬけさが愛おしいナンバー。

17    シンデレラ戦争

アイリーンとハドソンさんが対立するの、いがみ合う生き物っていう安直な女性解釈が気に食わないけど(これはそもそもの原作での描かれ方の問題だと思う)、演出は振り切ってて楽しかった。悪魔出てくるし。アイリーンの擬人化3人組(?)再来。衣装かわいいんだよな~!基本的には終始男たちの舞台なんだけど、この楽曲があることで女性陣の魅力も前面に出てるからOp.2が好きなのかも。最後、どたばたに振り回されて疲れ切ったホームズのため息に合わせてバイオリンの「にゅ~ん⤵」って音が入るの愉快で大好き。

18    信念

川に突き落とされたケイトを追ってためらわずに飛び込むアイリーンも、科学は誰もに平等だと説くシャーロックもすごく魅力的でかっこいい。アイリーンもシャーロックも心のうちに望む理想があって、でもそれを茶化して隠して生きてきたところは似ているのかもしれない。ただ、この人たちの信じる自由社会が、評価基準が家柄から能力に変わっただけの別のかたちの階級社会であることに思い至ると悲しくなる。アルバートを見ていても同じことを感じる。

19    真実

馬車の中で思索するシャーロック、視線がうろうろとしていて、きっと彼の目にはびっしり書き込まれた黒板とかが見えているんだろうなと思う。

20    あの女 かく思索せり 其の一

歌い出しの旋律が美しくて好きなナンバー。超~~~ヅカ!片目を細めて不敵な表情をするせしるさん、しびれた。インタビューで西森さんが「ピアノはモリアーティ陣営、ヴァイオリンはシャーロック陣営」と話していたけど、この曲の伴奏がピアノのみになっているのはアイリーンの将来の暗示と考えることもできておもしろいなあと3周目で思いました。

21    仮面舞踏会

踊る兄様、ありがとうありがとうありがとう 好きすぎて直視できません、薄目で観てしまう 助けて!!!!!!

22    闇の歌劇 (I)

勝吾さんのハイトーン、すげ~~~の回(何回目)。ロリンソン男爵の劇場舞台裏の場面(モランとルイス)、仮面舞踏会の会場(ウィルとフレッド)、アルバートとアイリーンの交渉場所と、3つのシーンが交錯しながら話が進む。

井澤さん、めっちゃくちゃ脚がながくてびっくりした。回し蹴りが映えてかっこいい再び。かつての同胞に再会して確実に動揺するモラン、ぎらぎらと生きた人間をしている。「俺は陸軍情報部第6課MI6!殺しのライセンスを持つ6番目の男だ」ってあえて口にするのは、むしろ自分を奮い立たせるためのような台詞で切なさがある。Op.4を一緒に観に行く友人と、終演後劇場を出たあと、一番最初に誰の名前を叫ぶかな?と話しているのだけど、モランの可能性が高まっている。私はアルバートであれよ。

マルチナに扮するフレッド、ほんとうにきれいだしちゃんとマルチナに似ててすごい。ロリンソンの手を自分の頬に引き寄せて見上げて睨むところの静謐な酷薄さがすごくよかった。青い怒りの似合う人。

アルバートが男装のアイリーンと交渉するシーンで飲んでいるワインはフェイクだけど、久保田さん、口にワインを含んだあとにあじわうように舌の上で転がす仕草をしていて良い。好きです。大英帝国の醜聞の中身を知って大笑いするアルバート、やっぱりいい性格しているよなあ。

23    闇の歌劇 (II)

ロリンソン男爵が死ぬところ、周囲の貴族の着けている仮面が赤く浮かび上がるの、とても怖くて超~好き演出だった。「これはすべて私が企てたことなんだよ/なんです」のアルバートとウィルのハモりが大好き。

24    あの女 かく思索せり 其の二

レストレードが部下の警官に絡まれる笑いどころ、必要?とは思ったけど(メタネタ好きじゃないので)、誤認逮捕をぜったいだめとか、職質のときは相手の目を見るとか、やっぱりこの人ちゃんとしてるよな!と思う。誤認逮捕はOp.3上演の伏線だったのかしら。

シャーロックの長回し。滑舌を意識している感じがないのに聞きやすいのはすごい。

25    希望の光の射す道は

「殺される理由があったとしてもだから殺されていいわけじゃねえ」という歌詞が好き。シャーロックの動機って正義感というよりは目の前の人を大事にしたいという素朴なものなのかもと思う。

26    光と闇が出会うとき

27    生まれ変わる時

ロベスピエールがホームズ家の先祖であることをマイクロフトが伝えたときの、画面後ろに映り込むアルバートの表情の変化が良かった。驚きを大きく出さず、わずかに目を見開くところ。動きが小さいというのは優雅さの必要条件のひとつなので。

アイリーンの死として髪を切り落とすシーンがきちんと見える形になっているのも好き。

28    I hope / I will

モリアーティの名前が書かれた封書を燃やすシーン、ほんとうに火をつけてて良かった。上手側のシャーロックが青、下手側のウィルが赤の照明になっているのが美しい。私もシャーロックは寒色の人だと思うし、シャーロックが割り当てられる正義の概念の色も寒色だと思う。ウィルの赤は地獄とか悪魔の色。演出西森さんもインタビューで話していたように、1幕も2幕もウィルが指揮者のように音を結ぶ動作をすることで、物語の展開を握っている立場であることを示す演出も好き。Op.3でシャーロックが犯罪卿の掌の上で踊っていることをもどかしく思っていることの吐露があるけど、そういうところの伏線にもなっている。ウィルはOp.1でも2でも、たびたび自身の犯罪計画を楽曲や演劇にたとえる(「闇のオペラをはじめよう」とか。だからミュージカルという形態の舞台と相性がいい作品だと思うし、シリーズの通し番号の冠詞(?)に作品番号を意味するOpusが使われているのも秀逸)し、やはりシャーロックは演者なのだ、というのが際立つ。

 

ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.3 -ホワイトチャペルの亡霊-

さすがに1曲ずつ書く体力はなくなったので印象に残ったところだけ。もっと書きたいシーンいっぱいあったのにな!これもまた観る。

開演直後、まず明るくなっておお、という声が漏れた。舞台セットがでかい!こういう形で過去のチケット代が還元されるのは嬉しいだろうなあと思った。

シリーズもののミュージカルの魅力のひとつは、同じテーマ曲で歌詞や歌い順、歌い手のアレンジが入るところだと思う。ジャックもミルヴァートンも再現度が高くて登場したときは思わず笑ってしまった。それとパターソンが輝馬さんだと知らずに見ていたので、登場したとき「あっ、お世話になってます」の感情が湧いておもしろかった。

モリアーティ一行が勢ぞろいするシーンがたくさんあって楽しかった!犯罪卿なのに、みんな楽しそうで和やかな空気でいとおしい。いやまあ、だからこそウィルの孤独を歌ったソロが映えるんだけど……。モランがかっこつけていじられるところが楽しくて好き。笑いどころをいれるならメタネタよりこういう作品の文脈でのネタが好きだよ~!久保田さんがアルバートとしてはぎりぎりの線を攻めた笑いの取り方をしていて、兄様はそんな動きしないでほしい!と思ったけどしっかり笑ってしまった。

笑いどころといえば、ぜんぶが落着したあとパターソンとレストレードがバーで打ち上げをする場面もおもしろかった。バーテンダーをやっていたアンサンブルの人がかなりおもしろい動きをしていそうなのがちらちら見えたんだけど、画面からは見切れてたのが残念。つくづくアンサンブルが良い味を出している作品。

平野さん、シャーロックの落ち着きのなさがやはり上手。友人とも話していたけど、静かにたたずむウィルとは対照的な印象になるのがいい。光と闇、動と静、正義と悪。このふたりの関係は作品全体に通底するメインテーマだけど、それにしてもOp.3はすごかった。シッパーの素質がある人たちにはものすごく楽しい舞台だと思うし、というか演出の西森さんがこれだからなあ。

 

どこかの曲でモランの詞に「俺がその怒りのこぶしになろう」というのがあるんだけど「新撰組の剣となる」ってこと?!って思ってにやついた。

アルバートは、Op.2のほうで優雅さの必要条件は動きがすくないことって書いたけど、そこがすこし崩れて自責に駆られる衝動が覗く場面があって、胸がぐっとなった。私がアルバートを好きなのは、ウィルの孤独を自分は癒やし得ないことを知っているところなのかもしれない、と思った。何を言ってもウィリアムの奥には届かない、響かない、それをわかっていてなお、共にある意志を見せ続けるのは、アルバート自身が信じるものをたしかめるために必要な言葉でもあるのだろうと思う。

レストレードがすごくかっこいい回だったなあ!Op.1で出番がほしいって言っていたのが叶って良かったね、とにこにこしていた。

ウィルの勤務する大学に遊びに来たシャーロックの顔がほんとうに心から楽しそうで、胸がいっぱいになってしまった。


ほんとうに文字通りモリミュだけ観て一日が終わりそうだ(薄ミュも観たけど)。楽しかったけど、これでいいのか?