2023/2/20

仕事をして、資格の勉強をして、筋トレをして、料理をして、シャワーを浴びて、本を読んで日付が変わる前には眠った。文字に起こすとぎょっとするほど淡白な一日だが、充実感は悪くない。生活がやっと自分の支配下に戻ってきた感じがする。適当に作ったピーマンと豚肉の炒めものが美味しかった。

遠藤周作『母なるもの』を読み終えた。私自身が好きというよりは、友人の好きな作家という印象のほうが先行していたのだが、昨年読んだ『深い河』に続いて、すっかり魅入られてしまった。キルケゴールに惹かれればこそ、この人の文章に惹かれるのもまた、必然かもしれないと思う。孤高のキリスト者。学生時代の10年間、キリスト教を身近なものとして触れてきながらもついぞキリスト者にはなれなかった私が、祈る人々を見て覚える憧れ、感傷を、作中の主人公が抱く母への憧憬に重ねながら読んでいた。私は神を持たないし、罪を犯し続けて生きていて、いつしかそれを省みることすら億劫になりつつある。そのことを悲しいと思うことはまだできているけれど。ボーヴォワールの『人間について』の中に『神』と題される掌編があって、よほどそちらに共感してしまう私が信仰に生きることは難しいだろうと思う。バタイユに肯定された気持ちになるところにしても然りだ。そしてキルケゴールに言わせればきっとそれは私自身が選んだ背徳ということになるのだろうけれど、それでも自分が祈れる人間でありたいという願いは、まだ捨てきれずにいる。私が身近で見てきた祈る人はみんな、美しかったから。