2023/10/31

薄桜鬼のキャスト発表を見た。輝馬が山南役を卒業していたのは予想通りとして、勝吾さんの演じる風間を観たいという気持ちは敵わないことにはちょっと落ち込んだけど、わりと続投のキャストが多くて嬉しい。演出家との相性を測りかねているところがあるので、どれくらい観に行くのか考えていないけど。関西まで行くかどうか悩む。

昨日はめずらしく会議がすくなく、リーダーと会話する機会がないまま、作業計画もその後の進捗も何も報告せずに一日好きに時間を使ってしまった。サボっていたわけではないし、ある程度自律的に動くことをゆるされる立場とはいえ、まったくコミュニケーションをとっていないのはさすがにまずいと思って夜に状況を伝えておいたのだが、あらためて朝のミーティングで何をやっていたか説明したら、思いのほか褒められた。いい内容だから、資料にまとめてクライアントにも報告しよう、と言われたので、会議に出つつ、資料を作っているうちに時間があっという間にすぎる。

夜はすこし早めに仕事を切り上げて、連れと映画館へ。『バーフバリ 王の凱旋』を観る。昨日観た1作目よりもさらに女が強くてよかった。ところどころ様子がおかしくて笑ってしまうのだけど、その荒唐無稽さもちょうどいい。『RRR』よりはこっちのほうが全然好きだ。戦闘シーンが一番眠くなるという不思議な映画だったけど、それでこそ個を埋没させるという戦争の特色をうまく描いているというか、単純なヒーロー作品として仕立てられていないところに好感を持った。ドラマパートが圧倒的におもしろかった。キャラクターの設定も、台詞回しもうまい。一番唸ったのは、クンタラの王妃デーヴァセーナを、本人の意思など意にも介さず、バーフバリへの対抗心から自国の妃として迎えようと画策するバラーラデーヴァに、「女性を物のように扱う物言いはいかがなものか」と苦言を呈した家臣を、バラーラデーヴァの母シヴァガミが「何が悪いの」と即座に一蹴したシーンだった。シヴァガミのその台詞は、そこだけならけっして同意できるものではないのだが、それまでのシヴァガミやデーヴァセーナの強さを全面に出した描写を見ていれば、けっしてこの作品が女性を物としてあつかうことを肯定しようとはしていないことがわかる。実子バラーラデーヴァではなく甥のバーフバリを王に選んだことに対して、シヴァガミがバラーラデーヴァに申し訳なさをおぼえているシーンが前にあるだけに、バラーラデーヴァの願いを叶えてやりたいとシヴァガミが思うのがけっして不自然ではないこと、そのシヴァガミの甘さこそが、その後王国を危機に陥らせる伏線になっていることまで含めて、とにかくうまいなあと唸るしかなかった。家臣の台詞自体は、なくても話の大筋に影響はなかったはずなのに、あえて入れつつ、それを単純に「今どきの価値観に配慮した」という目配せで終わらせず、きちんとキャラクターの心情と紐づいたものとして回収されていたのが鮮やかだったなあと思う。

バーフバリが宮殿を追放されて以降のシーンはどうもイエスが重なって見えて仕方がなかったのだけど、どこまで意図されたものだったのだろう。私はどうしたって欧米の価値観に影響されて育ってきたから、馴染みのあるモチーフに引き寄せて考えてしまうけど、インドと欧米の距離感がよくわからないなあと思いながら観ていた。

映画館でわりとしっかり食べてしまったので、帰宅後は鰹のたたきをつまみにちょっと飲んだくらい。連れが私と一緒に映画を観たいと思ってくれるのは嬉しい。