価値観を、情景を変えてゆく(2023年のふりかえりと2024年に向けて)

年が明けて数日が経つが、悲しい出来事が続いていて、おめでとうという気にもなれない。どうかこれ以上悲しいことが増えませんように。今悲しい思い、不安な思いをされているすべての人に、一刻も早く心安らぐときが来ますように。

過去の自分に区切りをつける口実になるから、暦の切り替わりのことは好きだ。すこしでも身軽に今年を生きられるように、去年を振り返っておく。のっぺりとした1年だったように思うのは、おそらくここ数年でもっとも苦しまずに過ごせたからだろう。思い返せば連れと正式に同居をはじめたし、死ぬまで一緒に遊びたいと思える友だちに出会ったりもして、イベントには事欠かなかった。浮き沈みはありつつ、悪くはなかった、と思えているのはきっと嬉しいことだ。ただ、それはあくまで個人的な話で、自分の外に目を向ければ差別は激化し、不当な侵略は始まり、終わらず、世界はどんどん暗澹としてゆくようでもある。そこから目をそらさず、抗うことをやめず、それでいて気持ちを持っていかれて動けなくなることのないよう、芯を持って立っていたいものだと思う。

2023年まとめ

1月:連れの誕生日に海の方まで遠出した。母が還暦の誕生日を迎えて、素敵なレストランで食事をした。

2月:モリミュOp.4をたくさん観た。多ステする予定はなかったのに、あまりにも琴線に触れて気がついたらチケットが増えていた。好きになって以降初めて観た久保田さんの出演舞台がこれでほんとうに幸せだった。

3月:友人と入った柩さんのバースデーライブがすっごく楽しかった。久保田さんの個人イベントにも行った。

4月:ダブルとか薄ミュとかを観ていた。交際再開から1年が経つ。

5月:友人と食べに行ったラム肉のお店が美味しかった。ペンタとかセブチのペンミとかもあったんだけど印象が薄い。

6月:中国出張で3年ぶりの海外に行った。ムビナナを観て、ムビナナを観ていた。連れの家を引き払う準備をすこしずつ始める。

7月:舞台を観つつ、ムビナナを観ていた、初対面で「PoTWってデモクラシーの曲だと思うんですよね!」って言い出す最高な友だちが増えた。セブチコンでソウルにも行った。連れと同居を始めた。

8月:ムビナナを観ていた。モリミュOp.5が開幕。

9月:久しぶりにプロジェクトワークに配属されて、ほぼ毎週出張も入り忙しくなるが、モリミュOp.5で銀河劇場に通いつつ、ムビナナも観ていた。連れの実家訪問がてら、行きがけに伊豆旅行をした。

10月:G4Y福岡に行く。アクスタが目の前で売り切れて落ち込みつつ、トウマくんがもっと大好きになって帰ってくる。ハマスによる攻撃を皮切りに、イスラエルのパレスチナへの侵略が激化する。

11月:デモに行ったり署名したりしながらも自分の非力さが悲しくてずっと落ち込んでいたけど、友人たちと明るい公園でピクニックをできたのはほんとうに幸せな時間だった。

12月:ずっと落ち込んでいたけど、年末にかけてどうにか持ち直した。酒を飲んでばかりいた。

印象に残った作品など

本がまったく読めなくて閉口した。映画はその分よく観た気がする。

  • カナファーニー『太陽の男たち/ハイファに戻って』
  • ジョン・スタインベック『ハツカネズミと人間』
  • 千早茜『しろがねの葉』
  • ゲーテ『若きウェルテルの悩み』
  • コナン・ドイル シャーロック・ホームズシリーズ
映画(配信・円盤を含む)
  • 劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD
    今年ベストっていうかオールタイムベストでしょう、この先ずっと不動の。
  • 御法度
  • THE FIRST SLAM DUNK
    自分の中のタイミングがいまひとつ噛み合わなくて、ずぶずぶハマるとまではいかなかったのだが、絶対にまた劇場で観たい作品。
  • イニシェリン島の精霊
    これもオールタイムベストに食い込んだ。私が映画に求めるものがここにあった。
  • パンズ・ラビリンス
    これも劇場で見ることができてほんとうに幸運だった。何もかもが完璧な映画。
  • べいびーワルキューレ
    高石あかりさん演じるちさとがやっていた「フローリングを走る犬の足音」の真似が大好きで、しょっちゅう思い出し笑いをしてしまう。ほんとうに最高のシスターフッドを見せてもらった。
  • ブリグズビー・ベア
  • ラスト・エンペラー
舞台・コンサート・ライヴ
  • ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.4 犯人は二人
  • ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.5 最後の事件
  • ミュージカル『薄桜鬼』山南敬助篇
  • SEVENTEEN "Follow" to Seoul
  • NIGHTMARE Birthday Live 2023 ~柩BD~
  • NTLive『かもめ』
  • Being at home with Claude -クロードと一緒に-
アニメ

去年はほとんどといっていいほど観ていないけど。

  • 葬送のフリーレン
    これもオールタイムベストかもなあ。静謐さがほんとうに美しい。派手で華やかな作品が多いし、これもそう創ることだってできたはずなのに、ここまで音を抑えて静かに見せるほうに舵を切ったのって、偉そうだけどつくづく慧眼だなあと思う。

2023年の目標に対する結果

部屋に花をたやさない

夏以降は全然だった。花を買おうと思えるのってそれなりに気持ちが安定してゆとりがあるときなので、そういうゆとりは全然なかった気がする。連れが越してきてしばらく家が散らかった状態が続いていたのも大きい。

スキンケアに力を入れる

ちょっと値の張る基礎化粧品に手を出して、調子が良くなったような気はしつつ、たぶんいちばん効果があったのは避妊と生理不順のために飲み始めた低用量ピルかもしれない。ともあれ、肌が荒れることはほぼなくなった。ただ、鼻炎の症状がひどくて鼻をずっとかんでいるせいか、鼻周りはまだ毛穴が目立つなあという印象。

ヨガを再開するか、ピラティスの教室に通う

運動はこれまで以上にまったくしない年だった。

ペットボトルを買わない

在宅の時期はほとんど買わずに済んでいたのだが、特に9月以降出張が増えてからはまったく守れなかった……。

資格を何かしら取る

一応取ったものの、難易度としてはかなり簡単なものだったので、あまりがんばった感がない。

毎月有給取得する

毎月とまではいかなかったものの、連れとのデートのためとか、福岡までトウマくんに会いに行くために使ったりと、良い使い方ができたなあと思う。

資産運用

それなりにまとまった額をつっこんで、どうやら増えてもいるらしいのだが、本当にこのままで良いんだろうかという不安感がある。くわえて、マメな管理のできない自分には運用をまかせっきりにするスタイルしかできないだろうと判断して投資信託を選んだが、その商品の投資先企業まで精査できていないので、自分のポリシーに反する企業に間接的に投資しかねないことへの歯がゆさがずっとある。自分の倫理をぶらしたくないけど金銭の不安をすこしでも軽減したいというジレンマ。

車の運転をできるようになる

まったく機会がなかった。

夢を見つける

見つかっていないどころか、考えることさえやめている。この1年ののっぺり感はここに起因するところが大きいのではないか。

書くのをやめない

創作はさっぱり書けなかったし、このまま一生書けないのだろうという諦念にずっと取り憑かれているが、日記はよく書いた。日記以外を書けるためには物理的に連れと離れる空間と時間が必要だなあ。

来年の目標

去年の目標は基本的に継続ではあるのだけど、あらためて。

SEVENTEENの公式情報をなるべく追う

もうなんかこの人たちのことって一生好きだし。情報の奔流に振り落とされて遠ざかってしまったところがあったけど、考えてみれば、その大部分はオタクから発信されていたものだったなと思う。他者のフィルターを介したものなんかどうだっていい、私が私自身の目で見て愛せるものを愛せばいいはずじゃないかと開き直ったら、weverseを見に行くのが楽しくなった。この調子でゴセとか映像コンテンツもすこしずつ楽しめるようになったらいいなあ。

本をたくさん読む・映画をたくさん観る

ここは言わずもがな。舞台の比重はすこし減らしたいなと思う。金銭的な負担がでけえので。

LINEを最低1日1回は返信する

もうほんとにLINEが嫌いで嫌いで嫌いなんだけど、義務にしないといつまでも誰にも連絡しないから……。それで簡単に人との縁は切れるともう知っている。

カメラを持ち出す

あんまり自信はないけど。

好きな服をクローゼットに増やす

少しずつ自分の好きなファッション傾向が見えるようになってきて、ありたい自分がわかりつつあるので、次はそのありたい自分を実現できるようにする段階。

友だちを愛し友だちの愛を信じる

たくさん対話する。私たち自身の話をする。月2で遊びたい。

美術館・博物館に行く

去年は全然行けなかったので。

資本主義に自覚的に抵抗する

これは~……どうすればいいか全然見えていないんだけど。友人たちと会話しながら方法を模索できたらいいなあと思う。

気持ちを大きく持つ

最近セーターに眼鏡が引っかかっただけで舌打ちが出てしまうくらい短気なときが多くて、もっとおおらかな人になりたいなあと思う。時間をゆっくり贅沢に味わえるようになること。

聖書を読む

「善く生きる」というのはずっと自分の指針においている考えだけど、何を善とするかにおいて頼れるものがほしいというのはずっと気持ちとしてあった。哲学の入門書をすこしずつかじったりもしたけど、一番影響が大きかったのがキルケゴールだったこと、学生時代の大半をキリスト教と過ごしたことから、けっきょく拠りどころになるのはここなんじゃないかと思っている。こういうのはもしかしたらあんまり褒められた下心ではないのかもしれないけれど。

車の運転をできるようになる

今年こそ!

運動する

今年こそ……食べても太らない体質だったはずなのに、下半期から着実に重くなっている。美容目的という以上に、祖母の足腰が弱くなっているのを見るにつけ、今から運動習慣をつけておかないと、年老いてから大変だろうなという危機感を募らせつつある。

家をきれいに保つ

家が散らかっていることが精神衛生にかなり如実に悪い影響を与えるので、週末きちんと家のことをやる時間をとりたい。連れともこの辺はすり合わせていきたいなあ。

 

とくにイスラエルによる虐殺が激化して以降、自分が安全で暖かな場所にいられることがずっと苦しかった。何をしていても、今殺されようとしている人がいることを思わずにはいられなくて、それが私ではなく他の誰かであることがずっと苦しくて、自分の幸福の価値を下げるようなことばかりしていたのがこの2ヶ月だった。苦しむべきは自分だ、という自罰感情は未だに手なづけられていないが、私が楽しく幸せにすごすことは、今苦しい人たちを踏みつけることでは必ずしもないのだと、ようやくすこしわかってきた。友だちと遊びたいと思っていいし、連れと一緒に暮らしたいと思っていいし、映画も舞台も観ていいし、音楽も聴いていい。私が幸福と定義するこれらに相当するものを、すべての人たちがそれぞれの形で持てることを祈ること、そのためにできることをすることをやめなければ、私は、幸せでいていいのだと。大事なのは、その幸せが誰かを踏みつけたうえに成り立つものでさえなければいいということだ。そして、誰かを踏みつけることになっていないか?というのは、それこそ周りの人と考えていかなければならないのだろうと思う。自分ひとりですべてをわかることはできないから。どう生きるかを考えるには自分のことを話さないとはじまらないし、それは一緒に生きたい人たちとやるべきことだろうと思う。友人たちと愛しい時間を重ねながらも、傷つくこと傷つけることを怖れてどこかで対話を諦めていたのが去年の私で、だからどこか振り返ったときに空虚さを感じてしまうのかもしれない。友人が年明けに言っていた「謹んで連帯のご挨拶を申し上げます」という文句がほんとうにすごく好きだった。もっと傷ついてもっとぶつかって対話をして、その先にきっと連帯があるのだろうと思う。血だらけになってでもあなたと一緒にいたいのだとそう言ってくれる人がいるのだから、傷つかない傷つけないだけの関係から一歩ぬけだして愛する人々とかかわれるような、そんな1年にしたいものだと思う。すべての人の安寧と幸福を祈って。