2024/1/16

昼:塩鶏じゃがと味噌汁の残り
夜:近所のお好み焼き屋

 昨日読み始めた沼田まほかる『九月が永遠に続けば』を、仕事そっちのけで午後読み切った。言葉にしたくないくらい嫌いな作品だった。何もかもがゆるせない。こういう物語を書きたいと思う人がいることも、売りたいと思う人がいることも、おもしろいと思う人がいることも。もっと倫理的に最悪な創作物なんていくらでもあるはずなのに、それらに対して抱くよりもはるかに強烈な拒絶感だ。露悪的なものそれ自体よりも、悪趣味を清廉っぽく見せたがるもののほうがよっぽど醜悪だと感じるのかもしれない。何がゆるせないって、性犯罪被害に遭った原因を被害者に見出そうとする視点が最後までずっと否定されなかったことだった。イヤミスの女王という二つ名もあるそうで、作風なんだろうが、思い返しても胸糞悪い。物語を侮辱されたような気分。
 夜はどうしても食事を作る気分になれなかった。連れの帰宅が早く、店もまだ開いている時間だったので、久しぶりに近所のお好み焼き屋に寄った。寡黙な大将と、溌溂とした女将さんが夫婦でやっている年季の入った店だ。飾られている写真の多くは色褪せているし、壁も椅子もテーブルも油でべたついていて、お世辞にもきれいな店とは言えないのだが、とにかく美味しい。清潔で小洒落た店よりも、こういう店で飲む生ビールのほうが美味しく感じるのはなぜなのだろう。満足。
 帰宅後は『美女と野獣』を観た。いろいろつっこみたいところも、好みから外れたところもあるものの、おとぎ話の世界がもたらすときめきはたしかに楽しんだ。すっかり消えてしまったと思っていた童心が、たしかに私の奥底には存在するらしい。ベルが恋をするのが獣の姿の相手であるところに、せっかくルッキズムへの批判を見出すことができるからこそ、最後の最後で美男の王子様に戻ってしまうことが不満。でも、最後のダンスシーンで、ベルが「ひげを伸ばしてみないの?」とビーストにからかうように問いかけることで、獣の姿への愛着が変わらずにあることが提示されていたのは良かったなあと思った。それに対するビーストの応答が「ガオ」だったのめちゃくちゃキュートでどきどきした。