2024/3/25

雨の朝、出社日。斉藤壮馬さんの音楽をかけながら身支度をする。色彩に欠けた日にこの人の音楽を聴くのが好き。

電車に乗りながら、やはりここは私のいるべき場所じゃない、と強く思った。人間と無機物にあふれすぎている。もっと呼吸を深くできる場所に帰りたい。昨日触れられる距離にあった湖が恋しかった。なんでここにいるんだろう。あと一駅で会社の最寄り駅に着くというところで、ちょうど佐々木隆治『カール・マルクス ー「資本主義」と闘った社会思想家』を読み終わった。先月読んだ斎藤幸平の新書で、理解の素地ができあがっていたというところが大きいのだろうが、すごくおもしろかった。その思想に自分と重なるものが多いのはわかっていながら、その屋台骨たる経済学的な視点については難しそうだからと敬遠してふんわりとした理解にとどまってきたが、その壁の一端を切り崩せた感触がある。まるで未来が見えていたかのように、マルクスの理論で、今の私が日々目にする社会の様々な動きが説明できることに、ただ圧倒された。駅前にあるクスノキが柔らかそうな新芽をぽやぽやと生やしている。早く欅の新芽も見たい。沈丁花とミツマタはそろそろ盛りがすぎて色が褪せはじめた。

膀胱炎の症状がひどくなっている。週末に体を冷やしたのがよくなかったんだろう。ドラッグストアで薬を買って、ついでに切れかけの化粧品とか日用品も買い足したらそれなりの金額になってしまった。帰り道にある桜の枝は、だいぶつぼみが緩んできていた。そろそろ咲くだろうか。

帰宅してからは、ふと思い立ってアニメ『SHIROBAKO』を観てみた。どういう会話の流れだったか、数日前の夕食時に連れと話題になったのが頭の片隅に引っかかっていたのだ。連れは今日は飲み会でいない。朝まで帰ってこないと思う、と言われていたので、食卓に昨晩の皿が残っているのは放置して、ソファの上でアニメを観ながら夕飯を食べた。昨日作った鶏肉と葱の醤油煮の煮汁の残りを炒飯につかったら美味しかった。あとは昨日の残り物のピーマンの白だし酢和え。けっきょく、8話まで一気に観てしまった。酔った連れからは甘えるような連絡が時折入る。12時をまわってから布団に入り、梨木香歩の『家守綺譚』を読み進めているうちに眠くなる。あと残り数ページだからがんばって読んでしまおうかとも思ったけれど、眠気に邪魔されて味わえないのはもったいないので、そこで読むのをやめた。