6月6日(土)夕立

14時半に起きた。花瓶の水を入れ替えて、昨晩仕込んだ水出しコーヒーを飲んだ。休日のはじまりとしては完璧だろう。それから洗濯機を回して、掃除機をかけた。それだけで汗だくになった。布団もとうとう片付けた。

17時少し前、恋人がランニングにいくというので、タイミングを合わせて散歩に出た。この街に住んで2年半近く経つが、何しろ出不精なので、明るい時間に歩き回ったことはほとんどなかった。暮らしやすさという観点ではとても気に入っているものの、野草をなかなか見かけないので物足りないとずっと思っていたけれど、すこし住宅街の奥に足を踏み入れれば、面白い場所はいくらでもあることがわかった。1時間ほど、恋人と通話をつないだまま、ふらふらと歩き回った。

ツタバウンラン
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ハナイバナ
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舗装されていない駐車場で見つけたゼニアオイ。本日の推し。ずっとかわいい~って言いながら撮っていた。
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これも駐車場の隅、トキワツユクサの群生にまぎれてぽつんと咲いているガクアジサイ。近くを見ても同じ株がなさそうだったので、どこからやってきたのか不思議。
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キツネアザミ。これも同じ駐車場。
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これも同じ駐車場。ベンケイソウ科マンネングサ属のどれか。この駐車場だけで15分以上しゃがみこんでいた。人通りがあるからともかく、車上荒らしに間違われそうだなと思ってなるべく車に近づかないようにしていたけど、それでも視線は感じた。
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道の端にわさわさと茂っていたヤグルマギク。近くの家の庭にたくさん生えていたから、たぶんそれが道の方まで飛んできたんだろう。もう花屋にも出回っているだろうか。
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空き地に咲いていたクサノオウ。初めて見た。隣の区画も建築工事の真っ最中だったので、そのうちにこの空き地にも家が建つんだろう。
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同じ空き地にイヌタデもたくさん咲いていた。
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遊歩道で見かけたマンネングサの仲間。駐車場で見たものとは葉が違うので別種。
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トキワツユクサ
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トケイソウ
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カシワバアジサイガクアジサイの園芸品種。カシワバアジサイみたいな存在感のある花ってあまり好きではないのだけど、母がソフトクリームみたいと表現してからすこし可愛く思えてきた。
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ホザキナナカマド。つぼみがかわいい!
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おしゃれなアパートの柵の合間から垂れ下がってきていた多肉植物。背景のコンクリートと相まって絵画みたいだった。気品というか、プライドのようなものを感じた。
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ほかにも、軒先にユリが生い茂っている家とか、急な坂とか、細い道を抜けた先にひっそりとあるカフェとか、たわわに実がなっているビワの木とか、緑深い公園とか、たくさん楽しいものがあった。公園はすでに閉園していて入れなかったので、次はもうすこし早い時間帯に絶対に行く。住みはじめた頃から大好きな街だけど、もっと好きになった。今度契約が切れるタイミングでは引っ越そうかなと思っていたけれど、こんなんじゃ迷ってしまう。

私が立ち止まったりしゃがみこんだりして2kmも歩かないうちに、電話の向こうの恋人は軽々と7km近くを走り抜けたらしい。それでも目に留まった花や景色が都度送られてくるので、一緒にいたような気がして不思議だ。

日が落ちるよりも早く、雲が厚くなって光量が落ちていった。こういう、夕立が来る前の空の暗さが好きだ。相対的に建物が明るく見えるので、街並みが浮き上がるみたいで、CGで描いたように非現実的になる。遠くで雷鳴がしていた。わくわくした。ほんとうは雨が降りはじめるまで外にいたかったのだが、空腹に負けて帰宅した。

シャワーを浴びて出てきても、雨はまだ降っていなかった。雷の音は近くなっていた。ハムとチーズをイングリッシュマフィンに挟んで食べた。雨が降りはじめてからは、かけていた音楽を止めて、雨音と雷鳴を聴きながらベッドに寝転がって植物図鑑を眺めていた。文庫本サイズの草花図鑑に載っている花はいつの間にかほとんどわかるようになってしまった。汗を流した肌に、ひんやりとしたシーツが心地良くて、気分が良かった。

2ヶ月も実家にいたので、感覚がリセットされたみたいで、初めて一人暮らしをした時みたいな感じだ。何もかもが自分の裁量で決まる生活が楽しくてたまらない。明日は何をしようか。