11月16日(月)強くあろうとする私

アラームが鳴る前に目が覚めて、しばらくまどろむ。布団を出たのはきっかり7時半。上々の滑り出し。30分かけて、三島由紀夫『愛の疾走』を4章ほど読み進めた。この作家の文章にはつくづく惚れ惚れする。あまりに文章が好きなので、物語が頭に入ってこないほどだ。沢木耕太郎三島由紀夫は永遠に私の目指す先にいるのだろうと思う。自分の書く文章よりも好きな文章が世界にあることが嬉しくて悔しい。

本を閉じてもまだ8時20分。昨日の夜の思いつきを実行に移してみる。ランダムに提示されるお題を使って、制限時間内に短編を書くというwebサービスである。15分で800字ちょっと。力づくで完結させたけれど、すぐにでも消してしまいたくなるほどの粗末な出来だった。でも、私に足りていないのは量をこなすことだ。この錆が剥がれるまで、目が粗くたって磨くしかない。時間と気持ちに余裕がある時だけでも続けてみれば、きっと何か見えてくるだろう。こんな思考ができているのは、少年漫画に感化されているせいだ。日向翔陽の眩しさを追って飛ぶ。

18時には仕事を終えて漫画を読む、と決めていたおかげか、日中は調子が良かった。会議も、それ以外の時間も、かなり集中力が続いたほうだろう。思い通りとはいかないにしても、19時には今日やりきりたかったことをすべて終えることができて、なんだか拍子抜けしてしまった。筋トレとストレッチをして、シャワーを浴びて、冷凍シチューの残りで夕食。

21時に最後の会議。事前準備はほとんどまともにしていなかったけれど、乗り切ったということにしておく。この時点で22時半。どうしよう。自由時間だ。選択肢を与えられると、人は迷う。漫画を読む、と決めていたはずなのに、ほかにもできることがあるのではないかと欲が出てしばらくぼうっとしてしまった。けっきょくほかに有効な使いみちも思いつかず、予定通り『呪術廻戦』の原作を読むところに落ち着いた。

21話、我先に呪霊と戦おうとする悠仁をたしなめる七海の「私は大人で君は子供 私には君を自分より優先する義務があります」という台詞にしびれた。41話の野薔薇の「私は綺麗にオシャレしてる私が大好きだ!! 強くあろうとする私が大好きだ!!」という台詞も良かった。野薔薇にかぎったことではないけれど、女性キャラクターを、女性という属性だけを理由に弱い存在として描こうとしないこの作品の姿勢が好きだなあと思う。楽しい。これも全巻買っちゃおうかな、と思案しはじめた。こう考えている時は、だいたい心が決まっているものだけど。