7月7日(水)

昨年の八月から準備してきた仕事の、ひとつの区切りを先月上旬に迎えた。その後始末で名古屋と東京を行き来する日々が続いたけれど、それもようやく月曜日に終わった。ひと月前にはまだわずかに顔をのぞかせる程度だった稲の苗が、先週はすっかり水面を覆って、水田は緑に染まっていた。これできっぱり終わりというわけではないけれど、しばらくは出張することはないし、すこしは忙しさもやわらいで、人間的な生活を取り戻せることになりそうだ。

そういうわけで、ひさしぶりに有給休暇をとった。もともと、夕方の観劇のための休みだったから、べつに午後休でも良かったのだけれど、働きたくない一心で終日休暇にした過去の自分を褒めてやりたい。実際、月曜日に名古屋から戻ってから休息らしい休息もとれていなかった身には、こうして日が高くなるまで眠れるのはありがたかった。

前の晩になんとなくやりとりをしていたら、元恋人もたまたまアルバイトのない日だという。それなら遊ぼうか、ということになった。昼過ぎに待ち合わせて、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の劇場版を観た。終映後、シアターを出てからの第一声が「もう一度観たいな」で重なって笑った。すごく良かった、というか、完成度の高さに圧倒された。技術的なことに明るくなくとも、考え抜かれて、細部まで一切の妥協をゆるさずに造られたものであることはあきらかだった。

時間にはすこし余裕があったから、映画館の近くのイタリアンバルに入った。気持ちはまだスクリーンの向こうにあって、ふたりしてトマトサワーを頼んだ。これっぽっちのアルコールでは酔えやしないけれど、平日の休みの日に昼から酒を飲む、という行為が重要なのだ。

元恋人と別れたあとは、友人と落ち合って、『SHOW BOY』という舞台を観た。ジャニーズのふぉ〜ゆ〜というグループの四人が主演のコメディミュージカルだが、彼らのことはほとんど何も知らないまま友人の誘いに乗った。ふだん見慣れている劇団四季とはまた毛色の違う舞台で新鮮だった。歌と踊りだけでなく、マジックの見せ場も多くて見ていて飽きなかったし、時系列を前後しながら答え合わせをしていく脚本も面白かった。辰巳雄大さんの演じる見習いマジシャンがゲイの役だったから、はじめは傷つけられやしないかとひやひやしたけれど、きちんと差別意識に対して敏感な人が書いた脚本だったように感じて、安心して見ることができたのも良かった。自分ひとりでは観に行こうと思わなかったであろう舞台なので、こうして連れ出してくれる友人がいるのは嬉しい。今度は私が誘った劇団四季を一緒に観にゆく。