2022/1/6

仕事はじめ。このところ気持ちのいい冬晴れが続いていたのに、労働を拒む気持ちの代弁か、空も陰鬱な色をした朝だった。ごみを捨てに出ただけの数分でからだの芯まで冷えきるような厳しい寒さだ。

昨年のあいだにやっておかないといけなかった仕事があったのをすっかり忘れていて、しぶしぶパソコンをひらいた瞬間にそのことを思い出して心臓が冷えた。さいわい命びろいはできたけれど、年明け早々に寿命がちぢむ思いをすることになった。休暇への未練をすっぱり手放すことができたという意味では、かえって良かったのかもしれない。

その後もトラブル対応に追われているうちに午前中が飛ぶようにすぎていった。ふと顔をあげたら雪が降りはじめていた。かろやかな、羽のような雪だ。雪だ、と元恋人に連絡したら、積もる気のない雪はただ可愛い、とかえってきて思わず笑ってしまった。

昼過ぎまでばたばたして、昼食をとりそこねたまま午後の会議に突入。空腹に耐えかねて午後三時くらいにようやく即席ラーメンにありついた。冷えきったリビングで食べる塩ラーメンは、具がなくても美味しい。雪は止むどころか、ひとひらはだんだんと大きくなり、舞い落ちる速度もあがっていた。元恋人はかわいいとの認識をあらためたようだった。深く積もりはしなかったとはいえ、夜勤だと言っていたから、帰り道は路面が凍っていることだろう。

そのあとはゆるゆると仕事をして、資格の勉強をして、書斎からリビングに出てきたのが午後九時。冷蔵庫は空だが、この寒さで買い物に出る気にもなれず、素麺を茹でて食べた。

友人から借りている『最遊記』の4、5巻を読んだ。宅配便で送ってくれたものである。何をどうしたら、こんなにカッコイイだけを詰め込んだものを創れるのだろう。だささとか気恥ずかしさとのあわいで、胸焼けしそうなほどに飾り立てた言葉が、突き抜けていてしびれる。もっと生身の感性を持っていたころに出会っていたかった。出会っていなくてよかった。