2023/6/8

関東は梅雨入り。福岡で同性婚訴訟の違憲判決が出て嬉しいいっぽうで、入管法の改正案は強行採決されてしまっていて、暗澹とした気持ちもある。ただ、正直まだ実感が湧いていない。ほんとうにそんなことがあっていいのだろうか、いくらなんでも通るはずがないと現実を理解することを頭が拒んでいる。かつて満州を強引に支配下に置こうとして国際連盟を脱退したみたいに、こういうところから戦争の火はすこしずつ焚べられていくんだと、ほんとうに思う。怖い。怖くてたまらない。私は、入管法の改悪に反対する。いつか言えなくなる日が、私が私の信念にもとづいて生きるだけで命をおびやかされるかもしれない日が、そう遠くないうちに来るかもしれないという危機感があるから、今だけでも言っておかなくてはならないと思う。そして、そんな悠長な話ではなく今回の法案がとおることで、すでに命をおびやかされている人たちが現実に存在するのだという、すでに命を奪われてしまった人たちが存在するのだという現実に向き合わなくてはならない。そんなことがあっていいはずがない、嘘であってくれとすがっても、ここに神はいない。

PSYCHO-PASSの1期、常守朱の言葉をずっと反芻している。

法が人を守るんじゃない。人が法を守るんです。これまで、悪を憎んで正しい生き方を探し求めてきた人々の思いが、その積み重ねが法なんです。それは、条文でもシステムでも無い、誰もが心の中に抱えてる、もろくてかけがえのない思いです。怒りや憎しみの力に比べたら、どうしようもなく簡単に壊れてしまうものなんです。だから、よりよい世界を創ろうとした、過去全ての人たちの祈りを無意味にしてしまわないために、それは最後まで頑張って守り通さなきゃいけないんです。諦めちゃいけないんです。

 

尊くあるべきはずの法を、何よりも貶めることは何だか分かってる?それはね、守るに値しない法律を作り、運用することよ。人間を甘く見ないことね。私たちはいつだって、より良い社会を目指してる。

私は、常守のこの考え方が大好きだ。好きというか、共鳴する。自分が根本的にアナキストになりえないと思うのは、このあたりに理由があるだろうと思う。法は、守る価値のあるべきものでなくてはならない。法律だから守るんじゃない、法にするほどに大事なものだから守るものだ。法とは、より良い生き方を選ぶための指針であるべきで、人を虐げたり、苦しめたりするものであってはならない。だからクソみたいな法案が成立しようとしている今も、より良い社会への軌道修正をまだ諦めたくはない。諦めてはいけない。理想を語れ。理想だけを語れ。冷笑主義にも他人事の事なかれ主義にも抗え。

仕事はいまひとつ集中できなくて自己嫌悪がちょっと募っている。あんまり良い状態じゃない。頭の中があっちこっちに逸れてうるさい。今日は連れがいないので、夕食を作る気分にもなれなくて、ひいきのカレー屋で外食をした。    明日からがんばる自分のための前払いだ。インド産のシラーズが物珍しくて頼んだらかなり美味しかった。シラーズは連れの好きな品種。赤ワインはさっぱりだったはずなのに、いつの間にかけっこう楽しめるようになっている。小川哲『地図と拳』の続きを読み進めていた。